はしがき

 『風が開いた書斎の窓』と名付けた太田秀夫の著作集を4月27日に出版することにいたしました。

 執筆者の太田秀夫がハンドルネーム「やまもも」で約十七年間運営して来たホームページ「やまももの部屋」( http://yamamomo02.web.fc2.com/ )にアップしてきた拙文のうち、論文「田中一村の遊印」に新たな訂正を加えて「田中一村の二つの遊印」と改題し、それに短編小説集「目に染み入るような青い空」、エッセイ集「風が開いた書斎の窓」、宮部みゆき作品評論集「我らが隣人の宮部みゆきさん」の併せて計四編を一冊にまとめて自費出版したものです。

  私がこの著作集の出版を思い立ったのは、ひとさまから来年は古希ですねと言われたときです。 と言いましても、 古希を記念して出版を思い立ったのでは決してありません。嗚呼、馬齢を重ねてもうそんな歳になるのかと自己の年齢を思い知ったとき、拙サイトの運営がいつまでも出来るわけではなく、私が1999年から約17年間に渡って書き込んで来たインターネット上の拙文は、電子情報である限りこの世から瞬時に消え去ってしまう運命にあります。そう考えたとき、この世にせめて四編ぐらいは紙に印刷された活字情報としてこの世に遺したいものだと切に思うようになりました。

 これらの四編は、太田秀夫が自然と湧き起こる執筆意欲にまかせて書き綴ったもので、自分のための自分による自分の拙文でしかありません。特に私小説風の短編集や個人の思い出を纏めたエッセイ集などは、文芸界に新たな一石を投じようとか、独自の視点から社会に鋭く切り込んで問題提起しようとか、さらには有り難いお説教やご立派な教訓を上から目線で語ろうなんて大それた気持ちなどこれっぽっちもありません。

 それでもこの著作集の拙文の一部でも読者のみなさま方の琴線に触れ、想いと重なるようなことがありましたら著者としてこんな嬉しいことはないと思い、出版することにしたのです。

 もし拙著の入手を希望される方は「ポンコツ山のタヌキの便り」のこのブログの拙文下か太田秀夫のフェイスブッグの拙文下のメール宛てに住所、氏名をお書き下さり、その旨お伝え下さい。5月以降に無料でお送りしたいと思います。

 なお、もしありがたいことに書店の店頭で拙著のご購入を考えて下さっている方がおられましたら、残念ですが店頭に並ぶことはありませんので、もし入手を希望される場合、やはり私宛にメールで配送先のご氏名、ご住所をお書き下さってその旨お伝え下さい。5月以降に無料でお送りいたします。

 太田秀夫宛てメールアドレス
   yamamomo02@yahoo.co.jp


が開いた書斎の窓

目次

一 田中一村の二つの遊印

 異端の画家 田中一村
2 晩年の田中一村と彼が遺した遊印「自吾作古 空群雄」
3 南画時代の田中一村
4 東京美術学校と「自吾作古 空群雄」の遊印
5 千葉寺で描かれた「白い花」 と遊印「飢駆我」
6 まとめ

二 短編集「目に染み入るような青い空

1 母親の靴音
2 ある映画パラダイス物語
3 懐かしの小学校仲良し三人組
4 届かなかった手紙
5 僕は運動会の
800メートル競走でビリでした
6 子ども心を傷付けた両親の不和
7 母方の祖父の甲子園通いと映画「東京物語」
8 切手集めとカストリ雑誌

9 冒険物語の主人公から路傍の徘徊者へ
10 興福寺五重塔前での村中先生との遭遇
11 目に沁み入るようなような青い空
12 母校の70年史誌と大学紛争
13 大学院時代の授業ボイコット
14 担ぎ屋のおばちゃんの思い出
15 赤提灯とバイオリン
16 母親が描いた息子の婚約者の似顔絵
17 東大寺南大門でのミイラ男との遭遇
18 一ヶ月余りの入院体験
19 父親の酒と女と大往生
20 次男と焼き鳥屋で談笑
21 長男の神戸での結婚式

三 エッセイ集「風が開いた書斎の窓」

1 私のホームページ作り
2 幼い頃の懐かしい写真
3 母のふるさとの街と家
4 私の両親の懐かしの台湾
5 母の遺著『箸の源流を探る』
6 曾孫(ひまご)の先祖の墓参り
7 父の大往生と家族葬
8 亡き父と私のパソコン事始め
9 武部利夫先生と漢詩の中国音読み
10 蔵書一千冊の古書店買取り価格総額はお幾ら
11 宮部ムック制作の協力依頼に感激
12 立川談志師匠の訃報を聞いて
13 本田のじいちゃんと孫のはんちゃん、のんちゃん
14 私の恩師の西村先生

四 宮部みゆき作品評論集「我らが隣人の宮部さん

1 『火車』に見る厳しさと柔らかさ
2 「生者の特権」に見る淋しさと慰め
3 『理由』に見る日本社会の危うさ
4 『幻色江戸ごよみ』に見る文体の使い分け
5 『孤宿の人』に見る社会派時代ミステリー
6 『模倣犯』に見る「純粋な悪」
7  私のホームページの『模倣犯』論議
8 『名もなき毒』に見る身体に潜む毒
9  宮部みゆきが語る宮部みゆき



inserted by FC2 system