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 鹿児島の市電と街  その3
市立病院前電停〜郡元電停
 
 
甲東中学前電停
甲東中学前電停 甲東中学前電停
 以前この電停前には鹿児島市立病院が建っていました。しかし2014年5月に上荒田町に移転し、この電停名も「甲東中学前」に変更されました。

 鹿児島市立病院といえば、1976年に誕生した東京・渋谷の山下家、1980年に誕生した鹿児島・徳之島の伊仙町の上木家の五つ子誕生で大いに注目されましたね。特に、NHK政治部記者の山下頼充・紀子夫妻の五つ子の場合は、日本で多胎児を無事に生育させた初めてのケースでしたから、大々的に報道されました。
新屋敷電停
新屋敷電停付近を走る市電
広いパース通りと雄大な桜島

 新屋敷電停は、電車通りがナポリ通りからパース通りと続く広い道路と交差する地点近くににあります。市立病院の横に架かっている大きな歩道橋から眺める景色はなかなかのものがあります。
 左の写真は、その歩道橋から撮りましたが、新屋敷の交差点から東北東の方向にのびる広い道路と東に聳える雄大な桜島が写っています。広い道路はパース通りで、鹿児島市がオーストラリアのパースとの姉妹都市盟約を記念して名づけられています。また右手にある大きな建物は鹿児島中央警察署です。
武之橋電停
武之橋電停付近を走る市電
 鹿児島市の路面電車は、1912年12月1日に鹿児島電気軌道が武之橋から谷山を結ぶ路線を木造の単車7両で運行したのがその始まりでした。南日本新聞開発センターが1985年12月に出した『かごしま市電物語』によりますと、「開通式当日、武之橋停留所は発足を祝って、大きな菊のアーチが飾られ、雨の中を大勢の見物人で賑わった」とのことです。
 天文館通の電停から谷山方面に行くために市電の1系統に乗り、新屋敷から武之橋の電停辺りに差し掛かりますと、車窓から雄大な桜島を見ることが出来ます。なお、1993年8月6日の大水害以前には、桜島をバックにして甲突川に架かる五連アーチの立派な石橋の武之橋も見ることができましたが、残念ながらその大水害のために流失し、いまはその豪壮な姿を見ることは出来ません。


二中通電停
 
二中通電停  二中通電停

 市電最終出庫便見送り式

     以前高麗町にあった鹿児島市交通局の局舎
 以前はこの電停前には木造平屋建ての交通局の建物(左下の写真)があり、その右手にはたくさんの電車が並んでいる車庫を見ることができました。しかし、施設の老朽化に伴い局舎と市電車庫が上荒田町の日本たばこ産業(JT)工場跡地に移転することになりました。

 それで2015年4月30日の午後4時30分から、高麗町の交通局構内で「市電最終出庫便見送り式」が開催されました(左上の写真)。新しい車庫の使用は5月1日から開始するそうです。
 
 そのため以前の電停名が「交通局前」から「二中通」に変更されることになりました。変更理由はつぎのことから来ていると思われます。高麗本通りから甲南中学校の横を通り、交通局前で電車通り(谷山街道)とつなぐ通りはいま「二中通り」と呼ばれています。「二中」とは明治39年(1906年)に誕生した鹿児島第二中学校のことで、七高内にあった二中が現在の上荒田町(現上之園町)に移転後、その校舎前の通りは「二中通り」と呼ばれて地元に親しまれて来た地名でした。二中と鹿児島県立第二高等女学校が1949年に統合されて甲南高等学校として発足後も商店街の街灯には「二中通り」の文字が書かれています。

 

鹿児島市交通局施設ジオラマ
 現在の交通局は老朽化のために2015年度中に、局舎と市電部門は鹿児島市上荒田町に、バス部門は同市浜町と新栄町にそれぞれ移転しました。

 鹿児島市高麗町から移転する鹿児島市交通局の姿を残そうと、鹿児島市谷山中央6丁目の横田博臣さん(73)がジオラマを作りました。高麗町の交通局の建物や市電などを、150分の1サイズで忠実に再現されたもので、同市上荒田町にできる新局舎で展示される予定ですが、それに先立ち2014年6月2日〜6日に鹿児島市役所別館1階市民ギャラリーで「交通局移転記念ジオラマ・写真展示会 〜ありがとう高麗町〜」が開催され、同ジオラマも展示されました。

荒田八幡電停
荒田八幡宮付近を走る市電
 交通局前電停からビルの立ち並ぶ電車通りを進んでいきますと、緑の木々がこんもりと生い茂った神社が見えてきます。これが荒田八幡宮です。
 獅子文六が小説『海軍』(1942年発表)のなかで、この荒田八幡宮についてつぎのように言及しています。
 「荒田八幡宮は、由緒のある社で、現在の社殿は、島津十五代の貴久の造営になってるが、奉祀は遥かに古いらしい。九月二十三日の祭礼には、浜下りの行事があって、鹿児島の名物となっていたが、今は廃れた。ただ、宝殿の下の白浜を、蝮蛇(まむし)除けとする風習は、今なお続いている。」

 
騎射場電停
騎射場電停に停車する市電
騎射場は学生の町

 騎射場は鹿児島大学のキャンパスに近いため、この周辺のお店は鹿大生(鹿児島大学の学生のことで「ろくだいせい」ではなく「かだいせい」と呼称します)がよく利用する飲食店がたくさんあります。
 私が二軒茶屋に住んでいた頃(1979年〜1989年)は、この騎射場の「名画座」という映画館によく行っていました。この映画館、建物はかなり老朽化しており、座席のシートも破れが目立ち、館内はネズミの運動会状態、というのはいささかオーバーな表現ですが、お世辞にもおしゃれできれいな映画館とは言えませんでしたが、ときどき昔の名画がB級、C級映画(さらにはピンク映画)と一緒に安い入場料で上映されていたものです。しかし、残念ながらいまはもう存在していません。
鴨池電停
鴨池電停から郡元電停に向かう市電と鹿児島県庁
鴨池と鹿児島県庁
鴨池に昔は動物園がありました

 鹿児島市民にとって鴨池といえば、いろいろお馴染みの施設がたくさんあります。鹿児島県庁や県立鴨池野球場、鴨池市民球場、鴨池公園水泳プール、市立図書館、市立図書館等々。

 なお、昔の鴨池には動物園があり、鴨池電停は動物園入り口の電停として非常なにぎわいを見せていたそうです。

 私は鴨池iにあった動物園が平川に移ってから以降に鹿児島市に住むようになった人間ですので、実際に鴨池動物園を見たことはありません。しかし、最近になって古書店で『かごしま・市電物語―廃線・上町、伊敷線への想いを込めて……』(南日本新聞開発センター、1985年12月)を入手しましたら、そこに「鴨池公園」という見出しで鴨池動物園のことが載っていました。

 それによりますと、鴨池公園は「市民の足を電車にのるように仕向けるための勧誘策」として造られ、動物園の動物も次第に増えて九州一を誇るようになったとのことです。また、高架線上のプラットホームで腰掛けなどもあり駅舎としての雰囲気がよく、動物園の客で賑わった」とのことです。ところが戦争中には上野動物園と同様にたくさんの動物が殺されているとのことですが、戦後になって再び動物園に動物たちが増えていき、また賑わいを見せるようになりました。クマタツさんが戦後間もなくのそんな鴨池動物園とその周辺の思い出を語っておられます。

 しかし、1972年開催の太陽国体のために鴨池周辺は大々的に整備され、近くの海岸一帯は埋め立てられ、白砂青松の海水浴場はなくなってしまいました。また動物園も鹿児島市南方の平川に移ってしまい、鴨池周辺の様子は一変してしまいました。現在の鴨池電停は隣に大型ショッピングセンターのある郡元電停があるためかいささか影が薄い電停のような気がします(そう思うのは私だけかな?)。

 そんな鴨池電停を降りて、郡元電停に向かって歩いていきましたら進行方向左手に鹿児島県庁が見えましたので、市電がやって来るのを待って県庁と一緒に一枚の写真に収めました。
郡元電停
ダイエー前の郡元電停に停車する市電  郡元電停付近の公園の桜
画像をクリックすると拡大
郡元電停

 
郡元電停は、鹿児島の市電の1系統(谷山線
 
ダイエー鹿児島店西側広場のブロンズの動物たち
)も停車しますが、2系統(唐湊線:鹿児島駅前〜天文館通〜高見馬場〜鹿児島中央駅前〜郡元)の終点でもあります。両系統の接続地点ですし、また目の前にダイエーも立っているので、乗り換え客や買い物客でいつもこの電停は賑わっています。私も日之出町に住んでいた頃は、よく家族揃って二軒茶屋の電停からこの郡元電停まで市電でやって来て、ダイエーでショッピングや食事を楽しんだものです。

 郡元電停のすぐ前がダイエー鹿児島店ですが、その西側広場にロバ、クマ、ウマ、ヤギのブロンズ像が置いてあります。この動物たち、いまはみんなブロンズで作られていますから、もちろん動き回ったりはしませんが、昔はこのあたりに鴨池動物園(1916年開園、日本で4番目に古い動物園)があって、様々な動物たちの元気な姿を見ることができたそうです。

 なお、谷山方面から1系統((谷山〜郡元経由〜鹿児島駅前)に乗って鹿児島中央駅に向かわれる場合、郡元電停で乗換券を受け取って下車され、ダイエー建物手前の一番線乗り場の「2系統」(唐湊〜鹿児島中央駅経由〜鹿児島駅)に乗車され、そこから10電停(乗車時間13分程度)の中央駅前電停で下車されたらいいですよ。
 

郡元電停から2系統へ乗り換え
鹿児島市電の電停一覧
電停名をクリックしますと、当該電停を紹介するコーナーが表示されます
 
鹿児島駅前 桜島桟橋通 水族館口 市役所前 朝日通 いづろ通 天文館通 高見馬場



甲東中学前 新屋敷 武之橋 二中通 荒田八幡 騎射場 鴨池 郡元 郡元(南側) 涙橋 南鹿児島駅前 二軒茶屋 宇宿一丁目 脇田 笹貫 上塩屋 谷山 1系統
加治屋町 高見橋  中央駅前
鹿児島 都通 中洲通 市立病院前 神田交通局 唐湊 工学部前 純心学園前 中郡 郡元 2系統


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